理事長よりご挨拶

令和3年・4年度に続き令和5年・6年度も日本整形外科学会(日整会)理事長を務めることとなりました。歴史ある日整会の運営に携わりますことを大変光栄に存じます。
整形外科は骨、軟骨、筋、靱帯、神経など運動器を構成する組織の疾病・外傷に対して、その診療、病態の解明、治療法の開発を行う診療科です。
対象器官は脊椎、脊髄、骨盤、上肢、下肢など広範囲に及び、患者の年齢層も新生児から高齢者までと幅広く、実に多種多様な疾患に対応しているのが特徴と言えます。
整形外科の基幹学会としての日整会の役割は、整形外科学の進歩・普及に貢献し、運動器の健康・疾病の予防を通じた国民の心身の健全に寄与することです。
具体的には年3回の学術集会開催、学会主導研究遂行、学会誌の発行、専門医の育成などを主な事業としております。
運動器疾患の増加を受けて学会会員数は年々増加傾向を示しており、2023年4月1日現在の会員数計26,471名と世界有数の会員数を誇る整形外科学会です。
日整会は多くの活動を行っておりますが、今後特に推進すべき課題を以下に挙げさせていただきます。

  1. 日整会100年に向けて
    1926年に創立された日整会は2026年に創立100周年、その翌年2027年には第100回学術総会を迎えます。
    2022年3月から「日整会100年プロジェクト」を始動し、これまでにプロジェクトのビジョン、プロモーション動画、ロゴマークの作成などを進めてまいりました。
    今後はプロジェクトをまとめたサイトの開設やビデオライブラリーなどの事業を進めていく予定です。


    日整会100年プロジェクト特設サイト

  2. ポストコロナ時代の学会運営
    コロナ禍も相まって学術集会、学会誌、事務局機能などのオンライン化・ハイブリッド化が一気に進みましたが、一方でオンラインならではの問題やその限界も明らかになりました。
    今後は対面とオンラインそれぞれの良さを活かした運営が求められています。
    負担軽減につながる学術集会や委員会のハイブリッド開催は継続する一方、対面でしかできない海外を含む人的交流の場は積極的に復活させ、発展させていく必要があります。
    また老朽化した情報システムの更新も急務であり、現在、新システムへのスムーズな移行に取り組んでいるところです。
  3. ロコモティブシンドローム(ロコモ)の啓発活動
    令和6年度(2024年)より開始される「21 世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本 21(第三次))」において、引き続きロコモティブシンドロームが採用されました。
    このことは社会に向けて運動器の重要性をアピールし、整形外科のプレゼンスを高める絶好の機会でありますので、全国の日整会会員が力を合わせ、ロコモの普及と予防を推進して下さるよう切にお願いいたします。

継続的重要課題として「新専門医制度への適切な対応と専門医の育成」「症例レジストリー (JOANR)を通じた整形外科手術エビデンスの構築」「働き方改革・男女共同参画の推進による日整会の活性化」などが挙げられます。
これまでの取り組みを継続しながら、さらに前進させる所存です。
いずれも一朝一夕では成し遂げられるものではありません。
多くの課題に対して理事、監事、代議員の皆さまと力を合わせて取り組んでいく所存です。より良い日整会を目指して、皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。



公益社団法人 日本整形外科学会
(九州大学整形外科学教室教授)
理事長 中島 康晴