理事長よりご挨拶
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令和7年・8年度の日本整形外科学会(日整会)理事長に就任しました。 伝統ある日整会の運営に携わりますことを大変光栄に存じます。 整形外科は「歩く」、「動く」を支える「運動器」を対象とする診療科です。 骨、軟骨、筋、靱帯、神経など運動器を構成する組織の疾病・外傷の診療、病態の解明、治療法の開発を行っています。 対象とする部位は脊椎、骨盤、上肢、下肢など広範囲に及び、患者の年齢層も新生児から高齢者までと幅広く、実に多種多様な疾病と外傷に対応しているのが特徴です。超高齢社会を迎え、運動器診療の需要はますます高まっています。 整形外科の基幹学会である日整会の役割は整形外科領域全体を俯瞰して、社会から求められる診療・研究・教育体制を整備し、運動器の健康を通じて国民の心身の健全に寄与することです。主な事業として、年3回の学術集会の開催、学会主導研究の遂行、学会誌の発行、専門医の育成を行っています。会員数は27,117名(令和6年度末)と世界有数の会員数を誇る整形外科学会になりました。 理事長として、特に推進すべきと考えるのは以下の課題です。 |
日整会は1926年に創立され、2026年に創立100周年、2027年に第100回学術総会を迎えます。 2022年3月に「日整会100年プロジェクト」を始動し、中島康晴プロジェクトリーダー(前理事長)の下、様々な企画を進めてまいりました。 2027年までに、これからの100年に向けた企画を着実に遂行し、有意義なものにしてまいります。 これまでの活動と今後の予定につきましては、ぜひ下記の「日整会100年プロジェクト特設サイト」をご覧ください。 医師法の改正によるスチューデントドクター制度の導入や医学部教育課程の国際認証による標準化、医学生試験(CBT・OSCE)の公的化など、医学教育は大きな変化を迎えています。医師法には「臨床研修の基本理念」として「一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない。」と規定されています。 しかし、運動器の外傷を扱う整形外科が臨床研修の必修になっていない研修施設が少なくありません。日整会は未来の医療を見据えて、整形外科が果たすべき社会的役割に相応しい医学教育・研修体制を構築し、医学教育全般の発展を通じて医療と福祉の向上に貢献する必要があると考えています。 2022年の「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」が日本医学会連合から発表され、2024年の「21世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本 21)」においても、引き続きロコモティブシンドロームが採用されました。 今、医学界からも運動器の重要性に注目が集まっています。日整会会員が力を合わせ、ロコモの普及と予防を進めてまいります。 日整会の手術症例レジストリであるJOANRの整備が進み、年間100万例を超える手術症例が登録されるようになりました。日々の診療データを着実に蓄積し、緻密に分析することが医療の発展には欠かせません。 診療データを有効かつ適切に活用するための持続可能な安定した体制作りを行ってまいります。
その他にも継続的課題として「専門医制度への適切な対応と専門医の育成」「男女共同参画の推進」などが挙げられます。引き続き、諸課題に対して理事、監事、代議員、そして会員のみなさまと力を合わせて取り組んでいく所存です。 公益社団法人 日本整形外科学会 |