歴史的医療機器の保存について

 日本整形外科学会では、歴史的に価値の高い過去の医療技術や機器を後世に残すために、その保存を行っています。現在保存しているのは、関節鏡の開発およびピエゾ電流の発見に関連するものです。前者は2005年から、後者は2006年から、日本整形外科学会事務所の会議室内に保存し、展示しています(一般には非公開)。
関節鏡は、高木憲次先生(1915年東大卒、第2代東大整形外科教授;1889~1963)が開発し、絶えず改良を加えて第12号に到りました。門下の渡辺正毅先生(1937年東大卒;1911~1994)は改良を続け、最初の製品を第13号と名付けました。展示品は第13号~第21号と周辺機器で、渡辺先生とともに開発と普及に尽力された池内 宏先生(1949年東北大卒;1924~2010)から寄贈していただきました。
ピエゾ電流は、保田岩夫先生(1936年京都府立医大卒;1909~1983)が発見した現象です。保田先生はさらに、骨に何らかのエネルギーを加えれば、仮骨形成が起きると推論し、それは「電気的仮骨」として実証され、臨床応用されるようになりました。展示品は、その研究に使用された機器類で、保田先生のご遺族から寄贈していただきました。