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「術後肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症」

全身の症状

症状

肺血栓塞栓症は、手術や入院安静などの後に呼吸困難や胸部痛ではじまり、重篤な場合は死にいたる合併症です。

長時間の航空機搭乗や災害時に自家用車に避難していて生じたという報告もあります。いわゆる「エコノミークラス症候群」です。

原因と病態

下肢にも動脈と静脈があり、安静にしていると静脈の流れが遅くなり、血管の中で血液が固まることがあります。これを「深部静脈血栓症」といい、血液の塊(血栓)が流れて肺動脈に詰まったものが「肺血栓塞栓症」です。大きな血栓が詰まると救命できません。

診断

肺血栓塞栓症の診断には造影CT、肺動脈造影、シンチグラムなどが用いられます。深部静脈血栓症の診断には、超音波検査、造影CT、静脈造影、などが用いられます。手術後に毎日これらの検査を行うことは不可能ですので、一般的には予防を行うことが重要です。

予防と治療

早期の歩行が最大の予防です。ベッド上の安静期間には足首をしっかり自分で動かすことが必要です。弾性ストッキングや空気圧迫装置も一定の予防効果があります。

血栓症を起こしやすいと考えられている膝や股関節の人工関節では、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」を術後に使用する場合があります。抗凝固薬で出血の合併症が生じる可能性はありますが、血栓症を減らすことが知られているからです(血栓症を完全に予防する方法は現在のところありません)。