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「腰椎変性すべり症」

腰の症状

症状

この病気では腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が出ます。
少ない距離なら歩けるのですが、立ったり・歩いたりしているとお尻や太ももの部分が痛くなって、歩けなくなります。けれども、少ししゃがんで休めば楽になって、また歩けます。

歩ける距離は日によって違いますし、患者さんによっても異なります。腰痛(腰のベルトが当たるあたり)は比較的少なく、全く腰痛がない患者さんもいます。

原因と病態

腰椎には馬尾神経を入れた硬膜管が通っている孔があり、これを脊柱管といいます。
「すべり症」では腰椎がずれることによって脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫されて症状が出ます。

診断

腰椎の「ずれ」についてはX線(レントゲン)検査で診断します。
腰椎を前後に曲げた状態での撮影で、よりはっきり診断がつきます。

MRIによって神経の圧迫の程度がわかります。

術前の単純X線像:
第4腰椎が前方(図の左側)へ移動している
術前のMRI矢状断像:
第4と第5腰椎の間で硬膜管が圧迫されている

予防と治療

腹筋を常に意識して使うこと、腰痛が出た時には腰を動かしてストレッチすることなどが一般的な「腰痛」予防になりますが、「すべり症」に関しては効果のはっきりした予防はありません。

お薬や腰椎の牽引・温熱、硬膜外注射などを行っても症状が改善せず、歩行や立位の保持が制限されて日常生活に支障が出てくれば手術的治療を検討します。
手術は「ずれ」や「動き」の程度によって、神経の圧迫を取るだけの場合と、固定術を行う場合があります。

術前のMRI横断像:
硬膜管は高度に狭小化している
6ヶ月後のCT像(矢状断像):
第4と第5の腰椎は移植した骨で癒合している